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『カオラマ』第一稿について(松原俊太郎)

2017年11月10日

戯曲のテーマはSFと「到来しない未来」ということで、頭の隅に残しておいて、顔と頭と身体と声のことを考えながら執筆した。難航した。これまでに書いた戯曲『みちゆき』『忘れる日本人』でも上演を前提としない書き方をとってきたはずだったが、実は声になることは前提としていたことがわかった。今回の演劇計画Ⅱでは上演を前提とせず、実際に上演の予定がないため、声になるかどうかもわからない。小説のように編集者がついてリーダビリティを求められるわけでもなく、自由に書いてよい。この自由が厄介で、結局、自ら制限を加えていくほかない。物語か、断章か、登場人物に身体を持たせるのか、声だけにするのか、声は発することができるのか、どのような場所で、どのようにして。ということで、原始的な執筆となった。第一稿が戯曲として成立しているのかどうかはわからない。わたしが決めることではない。戯曲はどのようにして成立するのか。今のところ、これは作品だとは言えない。が、やはり、データのままあるいは印刷された紙のまま終わるのはおもしろくないという思いはある。戯曲と外との関係がこれからの執筆に返ってくるのだと思う。

松原俊太郎

松原俊太郎『カオラマ』(第一稿)